おはなし

レーナは勇者とか正義の味方が大好きな女の子です。
  「ぼくの将来の夢は立派な勇者になることなんだ!」
   レーナは得意げに胸を張る。
  「あいかわらず子供っぽいよな、レーナは」
   スゥはあきれて首を振った、

ある日、いつものように『勇者アレックスの英雄伝』を見ていたら、
  「レーナー! アレックスはじまったかー?」
   ディーが起きてきて、

とんでもないニュースが飛びこんできました。
  「おはようございます!」
   ヒースはいつも元気いっぱいで、
  「レーナとディーは……あにめを見ておるのか」
   首を振りながらカエデは嘆息して、
  「あいかわらずにね~」
   一歩引いて見ていたミカは同意する。

隣町のネイボーリングタウンに空から『バニラアイス』が降ってきたというのです。
  「ちなみにわしはそこに住んでおるぞ」
  (当事者じゃな)
  「あたしとミカは逆隣りの町に住んでるぜ」
  (あたしらの町は今回は関係ないな)
  「だね~」
  (ニュースで見て、知ってたけどね)
  「ディーはレーナといっしょだぞ!」
  (アイスうまそうだな!)
  「わたしはひとり暮らしです!」
  (すごいですね!)

レーナはともだちのミカ、スゥ、ディー、カエデ、ヒースと一緒にネイボーリングタウンへ行くことにしました。
  「みんなー、ぼくについてきて!」
   意気ようようと先頭を歩くレーナ。
  「フォローは私に任せなさ~い」
   そんなレーナの斜め後ろにミカ。
  「レーナには負けないからな!」
   そう言いながら最後尾のスゥ。
  「レーナー、食いもんねぇか?」
   列から離れ食べ物を探すディー。
  「皆といると退屈しないの」
   嬉しそうにため息をもらすカエデ。
  「あ、ちょうちょです!」
   あいかわらずのヒース。

バニラアイスがたくさん食べられると意気ようようなレーナでしたが、話はそんな単純なものではありませんでした。
  「え? そうなの?」
  (そうなんです)
  「そうでしょ」
  (ですよね)

町はバニラのにおいでたいへんなことになっているし、
  「ひどいなこれは……」
   すごく甘ったるい匂いで、
アイス屋さんは商売あがったりだし、
  「わしは地面に落ちたものは食べぬぞ?」
   でもすっごくおいしくて、
それはもうたいへんなことになっていたのです。
  「たいへんです!」
   食べちゃう? どうする!?

レーナたちは、後に『バニラアイスクライシス』と呼ばれることになるこの大災害を解決するために奔走します。
  「ぼくがんばるよ!」
  (頑張れ!)
  「しょーがない、いっちょやりますか~」
  (やっちゃえ!)
  「あたしに任せろ!」
  (任せた!)
  「アイス食いほーだいだな!」
  (いくらでも!)
  「わしらだけで大丈夫じゃろうか?」
  (大丈夫!)
  「わたしだってやれます!」
  (無理しなくていいよ?)
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